アノマリーというものがあります
明確な根拠は説明できないのですが、経験則として成り立つ法則のことをいいます
アメリカ株には、4年ごとに行われる大統領選に関するアノマリーが存在します
では本当にその経験則どおりなのか、実際のデータを検証してみたいと思います
前年・大統領選の年・翌年・中間選挙の年と、4つのパターンがあります
確かに株価が支持率に直結するアメリカにおいては、大統領選の前年から当年にかけては上がりやすそうなのは、想像できます
しかし他の年の結果もみてみない事には、大統領選の前年だけが突出して優れているのかの判断はつきません
他の年だって優れた結果をだしているかもしれません
それを明らかにしてみたいと思います
実際4種類の年で、年初に買って翌年頭に売った場合どのくらいの収益が出ているのかを比べてみることにします
ルールです
- 1971年~2021年の各年の頭にS&P500指数連動の投資信託を買ったとして、翌年頭に売った場合どのくらい価格が上下していたか調査します
- 価格は4年周期の波があると仮定して、大統領選の翌年、中間選挙の年、大統領選の前年、大統領選の当年の4グループで検証したいと思います
- 51回の検証ではS&P500指数の平均騰落率は+9.4%
- プラスの回数は39回で、勝率は76.4%となりました
そもそも1年間の勝率が76%というのは優秀ですね
何も考えていなくてもいつのまにか儲かっているデータになるのも頷けます
毎年平均+9%以上の上昇率になるのですから、積立NISA口座でとりあえずここにお金を入れておけばいいのではないかと思います
しかし今回のテーマは、それを4つのグループに分けての検証となります
ちょっと細かい話かとは思いますが、お付き合いいただければと思います
ではまずは大統領選の翌年からいきましょう
データ数 | 13 |
プラス回数 | 9 |
勝率 | 69.2% |
上昇した年の平均上昇率 | +21.5% |
下落した年の平均下落率 | -12.9% |
平均騰落率 | +10.9% |
勝率では全体で3番目、平均騰落率では全体で2番目の成績になっています
通年の平均騰落率+9.4%を超えているのは素晴らしいですね
そして勝った年だけを見た場合の平均上昇率が+21.5%で、これは4グループ中第1位です!
負けた年も-12.9%なので、それなりに浮き沈みはありそうですね
しかし平均騰落率を超えていて、勝率も約7割なので、優秀な成績といえそうです
2番目に見るのはその翌年
中間選挙の年のグループです
データ数 | 12 |
プラス回数 | 7 |
勝率 | 58.3% |
上昇した年の平均上昇率 | +13.5% |
下落した年の平均下落率 | -13.7% |
平均騰落率 | +2.1% |
勝率、平均騰落率ともに全体で最下位の成績になっています
平均騰落率+2.1%というのは、過去長期間にわたって堅調に推移してきたS&P500指数として考えると、かなり物足りない数字に感じます
ちなみに今年も中間選挙の年になりまして、おそらくマイナスになります
その場合データ数13に対してプラス7回で、勝率は53.8%です
平均騰落率もほぼ0に近くなるんじゃないでしょうか?

かなり悪い成績だなあ
もう2分の1でどっちに転ぶかわからない年という事になりますね
ここまで成績が悪いパターンになるとは思いませんでした
中間選挙の年の年に、支持率を下げてでもやるべきことをやっておくということなのでしょうか?
そして翌年に景気回復を頑張れば、次の大統領選は戦えるということなんですかね?
では次は、世間で上がるといわれている
大統領選の前年のグループになります
データ数 | 13 |
プラス回数 | 12 |
勝率 | 92.3% |
上昇した年の平均上昇率 | +19.1% |
下落した年の平均下落率 | -1.0% |
平均騰落率 | +17.5% |
勝率、平均騰落率ともに全体で1位の成績になっています
確かに世間でいうアノマリーというものは凄いですね
勝率9割越え、負けたのはただの1回
負けた年にしても、たかだか-1%
平均騰落率+17.5%



こっちはすごい成績ですね
すさまじい、というのがふさわしい成績ですね
唯一マイナスで終わったのが、2015年になります
この年は後半チャイナショックに見舞われて、米国株も影響を受けたと考えられます
しかしこういう長期のデータ検証においては、個別の年の事象をいちいち言ってても仕方ないので単純に1回マイナスの年がありました、という事で良いと思います
では最後に
大統領選の年を見てみましょう
データ数 | 13 |
プラス回数 | 11 |
勝率 | 84.6% |
上昇した年の平均上昇率 | +12.3% |
下落した年の平均下落率 | -24.3% |
平均騰落率 | +6.7% |
勝率では全体で2番目、平均騰落率では全体で3番目の成績になっています
勝率はいいんですが、騰落率はものたりないですね
これは、負けた回数が2回と少ないのに、その1回がリーマンショックの年だったからです
しかしいちいちキリがないので、先ほども書きましたが、こういう事もありました程度で済ませましょう
13回中11回も勝ってる年にしては、平均騰落率に負けてるという不思議な成績のグループになりました
4つのパターンを比べてみます
勝率
1位 | 大統領選の前年(92.3%) |
2位 | 大統領選の年(84.6%) |
3位 | 大統領選の翌年(69.2%) |
4位 | 中間選挙の年(58.3%) 今年も含めたら(53.8%) |
騰落率
1位 | 大統領選の前年(+17.5%) |
2位 | 大統領選の翌年(+10.9%) |
3位 | 大統領選の年(+6.7%) |
4位 | 中間選挙の年(+2.1%) |
勝率と騰落率で、2位と3位は入れ替わりました
大統領選の年と、その翌年はそこそこの成績といえるでしょう
ここではっきりしたのは、世間でいうとおり大統領選の前年の成績が、勝率、騰落率ともに飛びぬけているということ
いろいろな時代背景がある中で、13回のデータを経てこの成績というのはある程度信用していいかもしれません
そしてもうひとつ、中間選挙の年のデータにも注目しましょう
勝率、騰落率ともに最下位です
翌年がんばるから、その年は国民に我慢させてでもしょうがないって事なんでしょうか
ここまで成績が悪いと、投資する価値があるとは思えないですね
まとめます
ここまでの話を総合すると
- 投資の世界には、経験則(アノマリー)が存在する
- アメリカ株は、4年周期のパターンが存在する
- 大統領選の前年は、現職の大統領が景気刺激策を頑張るため、株価が上がりやすい
- 大統領選の前年の成績は、勝率92%、騰落率+17%である
- 対して中間選挙の年の成績は悲しいほどで、勝率58%、騰落率+2%程度だった
アノマリーといわれるようになるだけあって、大統領選の前年の成績は目を見張るものがありました
このくらいはっきりと成績が良ければ、投資は楽なんですけどね(^^)
そして、来年はその「大統領選の前年」に当たる年です
今年の成績はいまいちでしたが、今年は「中間選挙の年」にあたります
今年の成績に対しての気休めになるかはわかりませんが、来年の相場に期待して今日は終わりにします